ユーモア村のジョーク物語:第8話「信仰心」

2016/11/04

パロディー国には様々な宗教があるが、とりあえず国教をパロパロ教と定めている。

ここユーモア村では、ほとんどの村人たちがパロパロ教を信仰しており、その祭祀を執り行う者をパローナと呼んでいた。

当然にパローナは、賢者たちが住むアムル山に教会を建て、日々精進???しているのだった。

*****

リンネルはパローナだが、とにかく命にかかわる災難によく遭うことで有名だった。

しかしリンネルは、その災難からことごとく生還しているので、

「これも私の信仰心のおかげなのだ。みんなも信仰心をもっと深めるように努めよ」

と、上から目線で自画自賛するように周りの者たちに言っていた。

それを聞いた村人たちは、

(いや、そんだけ災難に遭遇するんだから、信仰もヘッタクレもないだろよ…)

と、小バカにするように鼻で笑っているのだった。

そんなある日のこと。

リンネルは昼食の前に、

「天にまします我らのパロ神さまよ。今日もお恵みをくださり感謝します」

と祈りを捧げて昼食を済ませると、山菜取りへと出かけた。

山菜取りに夢中になっていると、少し山の奥にまで来てしまっていたようで、

(これ以上は熊が出るから危険だな…)

と思い、引き返そうとしたときだった。

背後から、カサカサッ…カサカサッ…と、何やら音が聞こえたので振り返ってみると、体長が5メートル以上もありそうな、真っ黒な熊と目が合った。

(ク、ク、ク、熊ッ!!)

と、思った瞬間、熊が猛然と襲いかかり、リンネルの上に馬乗りになると、ガルルルゥ~とヨダレを垂らした。

(ヤバイッ、食べられてしまう!)

そう思ったリンネルは即座に両手を合わせ、

(パロ神さまッ! お助けください~ッ!)

と目をつぶって必死に神に祈った。

熊のヨダレが顔に落ちてくる中、必死に祈り続けていると、

「どうしたのじゃな?」

という声が聞こえたので目を開けてみると、空中にパロ神さまが現れているのが見えた。

「あっ、パロ神さま! どうかお助け下さい!」

「ふむ、どうすればよいのじゃな?」

「この熊に、神への信仰心を与えてください!」

「この熊に、信仰心をか?」

「そ、そうですパロ神さま!」

「ふむ、わかった。では早速」

パロ神さまが「エイッ!」と掛け声とともに杖を一振りすると、杖の先からは稲妻のような光が放たれ、熊にバチバチッと直撃した。

するとどうだろう。

熊の表情が、みるみる変わっていく。

それは、ヘレンケラーが「WATER!」と叫び、全てを理解したときのような表情だ。

熊の瞳がウルウルとし、輝きはじめる。

そう・・・熊が信仰心に目覚めたのだ!

(ホッ、助かった・・・)

そう思い安堵したリンネルは、まだ馬乗りになっている熊が重いので、

「ほら、熊よ、重いからどいておくれ」

と言うと、熊が潤んだ瞳でリンネルを優しく見つめてくる。

「わかったから熊よ、重いから私の上から降りておくれ」

再度リンネルがそう言うと、熊はゆっくりと胸の前で両手を合わせ、静かに目をつぶってから、こうつぶやき始めた。

「天にまします我らのパロ神さまよ。今日もお恵みをくださり感謝します」


 

 

 

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