何をか言わんや!:007「息子Bとバイクレーサー」

私には息子が2人いる。

息子Aが長男で、息子Bが次男。

今回は息子Bのお話です。

-息子Aの話は⇩⇩⇩からどうぞ!-

何をか言わんや!:004「息子Aとスーパーサイヤ人」


息子Bは、息子Aとは性格も知能も正反対。

息子Aは、おちゃらけ能天気で、中学になっても掛け算の7の段が言えないのに対し、息子Bは口数が少なく頑固、そんなに勉強しなくても学年でトップクラスの頭脳の持ち主だった。

(ホントに2人とも、私の子なんだろうか???)

と疑いたくなるほどだ。

そんな息子Bが小学校に上がる前の事だったと思う。

何の用事かは忘れたが、私は息子Bを車の助手席に乗せて、高速道路で親戚の家へと向かっていたときのこと。

案の定、口数が少ない息子Bは、身じろぎもせずに長距離ドライブに耐えていた。

そして、小1時間が過ぎたころ、

「ねぇ、父ちゃん」

と息子Bが話しかけてきた。珍しい…

「ん?どうした?。トイレか?」

と答えながら、チラッと横目で見ると、息子Bは真顔で前方を見据えている。

「トイレなら、あと20分ぐらいでパーキングに付くから、もうチョット待っててな」

私がそう言うと、

「違う」

と答えてきた。

真剣な表情をしている・・・

こんなときは、無理に「どうした?」なんて聞かないし、聞けない。

頑固な息子Bを喋らせるには、こういった場合、待つのが鉄則だ!

すると、ひと呼吸おいて息子Bは、こう言った。

「ぼく、バイクのレーサーになる」

と・・・

その声色は「オレは海賊王になる!」みたいなものではなく、シャア・アズナブルの「アムロ???…やるようになった…」と、実力のある者がサラリと言うような感じだった。

でもだ!

(バ、バイクのレーサー???なんで???)

と、思った私なのだが、疑ったように「なんで?」と聞くと、息子Bは機嫌を損ねる。

笑おうものなら、2週間は口をきいてくれなくなる。

そんなバカなことを私がするワケがない。

でもだ。

(待てよ...最近、お笑い番組が好きだよな???ひょっとしてジョークか???)

と、息子Bに気づかれないように疑い眼で見ると、さっきと変わらずに、真剣な表情で前を見つめている…

(こりゃ本気かもな・・・)

そう思った私だが、口数の少ない息子Bが久しぶりに会話を振ってきた嬉しさに、その会話を弾ませようとした。

「父ちゃんも大きなバイクに乗ってたことがあるけど、バイクの運転って難しいんだぞぉ~♪」

と、楽し気に話しかけてみた。

のだが・・・

息子Bは、前方を見つめながら、

「大丈夫」

の、ひと言返事・・・

シーンと車内が静まり返る。

(ん?怒らせちまったか???)

空気がどんどん重くなっていくのがわかる。

その重くなっていく焦りが、

「ホントにホントに難しいんだぞぉぉぉぉ♪♪♪」

・・・私をより陽気にさせた。

しかし返ってきた答えは、またしても、

「大丈夫」

の、ひと言のみ。

そしてそれは、最初の大丈夫とは違って、重厚感が漂う声色だ。

(ヤ…ヤベェ・・・汗)

しかしだ!

私は、息子Bの5倍くらいは人生経験があるのだ!

(負けるもんか!負けるもんか!)

と気を取り直し、細心の注意を払いながら、

「難しいよぉ~♪」

と穏やかな笑みで言ってみた。

するとだ!

息子Bは、クルッと頭だけをこっちに向け、眼光鋭く私を睨みながら、こう言い放った。

「取説をシッカリ読むから大丈夫ッ!」

と・・・

(???・・・やっぱりジョークか!?。いや待てよ、この表情は、%&&W”!%)~&$(!’’)

その気迫に圧倒され、パニックを起こした私に残された手段は、何も言わずに前を向いて運転することしか出来なかった・・・

それから会話がないまま5分くらいが経ち、チラッと息子Bを見てみると、息子Bは、助手席の窓ガラス越しに流れる景色を、真剣にジッと食い入るように見つめている。

なんかカッコいい・・・

その姿を見た私は、

(うん、父ちゃん、お前なら取説だけでやれそうな気がしてきたよ。…うんッ!)

なぜか素直に、そう思えたのだった。

おしまい。


PS.

未だに、本気だったのか、ジョークだったのか分かりません。

息子Bに聞いても、覚えてないの一点張りです。

ですが、息子Bが言い放ったときのあの場面だけは、頭にこびりついて離れません。

《お前とは違うんだよッ!》

という、あの表情、あの眼を・・・


何をか言わんや!

でした。


 

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