何をか言わんや!:002「語り草になったサトシ」

2016/11/04

たしか小学5、6年生の頃だったと思う。

夏休みも終わりかけて涼しくなってきたころ、幼馴染みのユータと何か面白いことがないかと近所をブラついていた。

すると前方から、これまた幼馴染みのサトシが、何やら小脇に抱えて歩いてくるのが見えた。

近づいてくると、それは最近流行りのスケボーなるものだった。

しかもこれまた最近流行りのスーパースターのジャージを着ている。

「おッサトシ、スケボーやん!買ったん?」

「おう!」

「っちゅうか、スーパースター着とるやん!」

「おう!お前らなんしよんか?ヒマならスケボーさせちゃろか?」

っとまぁ、こんなあいさつを交わした。

えらく上から目線のサトシだが、いつものことだ。

というか、このサトシ・・・頭が悪い・・・

それに運動オンチなのに、いつもこの僕にだけケンカを売ってくる。

もちろん僕は一度も負けたことなど無い。

サトシはそれが歯がゆいのだろう。

なので、何か新しいことを覚えたりすると、かならず僕の目の前に現れてケンカを売ってくるのだ。

まぁ、僕んちの真裏にサトシは住んでるので、現れるもヘッタクレもないのだけど…

とまぁ、そんなこんなでスケボーをすることになった。

僕「どうせ滑るんだったら、ヨーコんちの横の坂でやろうぜ」

サトシ「お、おう…」

サトシの歯切れが悪い。

そりゃそうだ。

ヨーコんちの横の坂は、自転車を漕いで上るのはもちろん、押して上るのでもさえも息を切らしてしまうほどの急傾斜の坂で、長さも100m以上ある。

そう・・・サトシはビビッているのだ。

これは、僕がサトシによく使う手だ。

ハッキリ言って、勝負してもサトシは弱っちぃので、勝っても面白くない。

面倒くさいから、一気にカタを付けるためにやるのだ。

ってなことで、到着。

ユータは極度の運動オンチ&性格もオットリ系なので、僕もサトシもユータにはスケボーをやらせようとは思わない。

なので当然、僕とサトシが滑ることになる。

僕「うわッ…やっぱ急やね。ジグザグ走行じゃなくて、真っすぐに滑ろうぜ!。度胸試しだッ!」

サトシ「お、おう…」

僕「お前、先に滑る? オレが先に滑ろっか?」

サトシ「お、おう…」

僕「よしッ!んじゃオレが滑ろう!」

というわけで、僕は片足でスケボーを押さえて坂の頂上でスタンバイした。

生まれて初めてのスケボーだけど、ローラースケートなら得意だし、さっきチョット乗ってみたらイケそうな感じだったので、恐怖とまではいかない緊張感があるくらいだった。

スタートすると徐々にスピードが上がり、スケボーがゴーゴーガーガーと、けたたましい音をたてる。

チョットでもふらつけば制御不能になる危険な状態だ。

僕は坂の下の中央部分だけを見つめ、集中して下った。

なんとかコケずに滑り降りることができた。成功だ!

僕は興奮気味に、坂の上で待っている2人の元に戻っていった。

「恐ぇぇぇぇッ!めちゃめちゃ恐ぇぞ!んでも面白ぇぞコレ!」

2人にそう言うと、ユータはニコニコしながらスゲェスゲェと手を叩いてくれた。

一方のサトシは・・・顔が引きつっている。

こういったときのサトシは、用事を思い出しただの、お腹が痛いだの言って逃げに入る。

僕は、

(そんなことさせない! 絶対に逃がさない! 僕にケンカを売って逃げるだなんて許さない! サトシのつまらないケンカに付き合わされたんだ。楽しませてもらわないと・・・お楽しみはこれからだ!)

と思ったので、

「サトシの番だけど、やめとけよ! お前じゃ無理だよ」

と言って様子を見ると、サトシがピクッと反応して僕を睨んできた。

もうチョイだな。と思った僕は、

「お前、運動神経ゼロだろ? そんなにビビった顔してんだからやめとけって。向こうのユル~イ坂で滑ってこいよ」

というと、サトシは、

「オ、オレだってこのくらいの坂なら滑れるわい!」

と啖呵を切った。

ほぉ~ら引っかかった。お楽しみのはじまりだ。

でもサトシは、かなりビビッているのだろう、なかなかスタートしないので、

「ほれ、サッサと滑れよ…日が暮れちまうぞ」

とヘラヘラしながら言うと、やっとこさっとこスタートした。

坂の中腹まで来ると、サトシが僅かにふらついた…

と思ったら、瞬時にもんどり打って、ド派手に大ゴケした。

僕は坂の上からサトシに大きな声で、

「アハハハハ、バ~カ!コケてやんの!」

と言ってユータを見ると、おとなしいユータも大声で笑ってる。

そうやって2人で笑いながらサトシの方を見ると、しばらくうずくまっていたサトシがムクッと立ち上がり、般若のような形相で早歩きしながら僕たちのところへ戻ってきた。

サトシがハァハァと肩で息をしながら僕を睨んでる。

悔し涙が浮かんだ血走った目で僕を睨んでいるのだ。

「だからやめとけって言ったんだよ。バ~カ。アハハハハ」

とユータと笑いながら、サトシをよく見てみると、ヒザやヒジ、手のひらから血が出てる。

僕らにとって擦り傷なんかは日常茶飯事なので、僕とユータはその傷を見て、さらに笑った。

「アハハ、どんだけ派手にぶっコケてんだよ。アハハハハ」

と笑っていると、サトシがとんでもないことを言い出した。

(※以下、サトシは怒りながらも真剣に言い、僕はヘラヘラしながら言いあった会話)

「べ、弁償しろ!」

「何をだよ?」

「スーパースターのジャージ代、弁償しろ!」

「はぁ? アハハ、何言ってんのサトシ」

「うるせぇ、弁償しろって言ってんだよ!」

「お前が勝手にコケて破けたんだろ?お前バカか?」

「うるせぇ!弁償だ!」

「何ほざいてんだよ。アハハハハ」

と、僕とユータは、サトシのワケのわからない言葉に腹を抱えて笑った。

それでもサトシはしつこく、

「キサマ何笑ってんだよ!弁償しろよな!」

っと聞いてくる。僕は半分あきれたように、

「なんでオレが弁償しなくちゃならねぇんだよ?」

と聞くとサトシが涙目で、さらにありえない言葉を言い放った。

その言葉が語り草となるのだが、その言葉とは…

「お、お、お前がオレを、そ、そそのかしたからだぞッ!」

だった・・・


(でもまぁ、そうなんですけどね…てへぺろッ!)

以上、何をか言わんや!の第2回目でした。


 

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