何をか言わんや!:004「息子Aとスーパーサイヤ人」

2016/11/04

私の息子Aは、もうだいぶ大きくなっているのだが、たしかまだ5才くらいの頃のことだったと思う。

私の仕事が休みで、息子Aと2人でお留守番をしていたとき、チョイとヒマだったので、

「大事な話があるから、チョットおいで」

と真顔で言うと、トコトコと私の元に歩み寄ってきて、

「なん?」

と軽い笑みを浮かべながら私に聞いてきた。

実に可愛い。

その可愛さに顔が崩れそうになるのを堪えながら、私は息子Aを座らせて真剣な表情で話した。

「実はな…お前は、父ちゃんと母ちゃんの本当の子ではないのだ」

「えッ!・・・」

息子Aの顔が一瞬で泣き顔になり、目に涙を溜めはじめる。

それを見た私は、間髪を入れずに続けた。

「お前はな、ピッコロさんが連れてきたんだよ」

「えッ、ピッコロさんが!?」

「そうだよ。ピッコロさんが小さなお前を抱いて父ちゃんのところにやってきて、

《将来この子は地球を救うスーパーサイヤ人になるから大事に育ててください》

って言って、お前を父ちゃんに預けていったんだよ」

「ほ、本当?・・・」

「ああ、本当だ!」

「ホントにホントに本当???」

「ああ、本当のことだ!」

息子Aの顔が、みるみる変わっていく。

精気が戻った目に、まだ乾かない涙が反射してキラキラと眩しい。

すると、だ…。

息子Aはガバッと立ち上がり、天井を見上げながら、

「やったぁぁぁ~ッ!!!!」

と歓喜の雄叫びを上げると、家を飛び出して行ってしまった。

(んッ!? なんかマズイことになりそうな・・・)

とは思ってはみたものの後の祭り…

(まぁ、なんとかなるだろ)

と思い直し、読みかけの本に手を伸ばした。

しばらくすると、家の外から、

「父ちゃぁ~ん! 父ちゃぁぁぁ~ん!」

と息子Aの声がした。いつもとは少し違う声だ。

何事か?と思い、頭をボリボリ搔きながら玄関の戸を開けてみると、息子Aがヒックヒックと泣きながら、すがるように父親である私を見つめている。

そして息子Aの後ろには、いつものガキんちょが横一列に5人ほど並んでいるのが見えた。

そのガキんちょ達が、面倒臭そうに私を睨んでいる…

その光景を見て、すべてを悟った私は、息子Aに

「ほらッ、男は泣いたらダメだろ! 顔を洗ってこい!」

と言うと、息子Aは拳で涙をひと拭いすると、玄関を駆け上がり洗面所へと向かっていった。

残ったのは近所のガキんちょ達と私だけ…

気まずい雰囲気の中、覗き込むようにガキんちょ達を見ると、リーダー格の男の子が、

「おいちゃんさぁ…もうヤメテよね…。何回目?…こんなことすんの…」

と、ホントにクソ面倒臭そうに言ってきた。

私は、背中を向けたくなるような罪悪感を感じていたので、

「チョット待っててね」

とガキんちょに告げて部屋に小銭入れを取りに行き、ガキんちょ達の元へ戻ると、

「ごめんね。ごめんね。」

と、一人ひとりに言いながら、100円を配っていったのでした。

ホントに面倒臭い一日でした。


PS.100円を配っている最中に、リーダー格の男の子が、

「金じゃないいんだよねぇ・・・」

と呆れるように言った言葉が、未だに忘れられません。


何をか言わんや!

でした・・・


 

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